社会を動かすビジュアルストーリーテリング
「Data4Change」は、ロンドンを拠点とする非営利団体です。社会問題に関するデータを視覚的に表現し、ストーリー立てて伝えることで、問題の理解と解決に取り組んでいます。

たとえば、次に挙げるプロジェクト「Visualizing Yemen’s Invisible War」では、イエメン内戦について、ビジュアルストーリーを作っています。
イエメン内戦の裏側を視覚化
2015年に勃発したイエメン内戦には、サウジアラビアを主導国とする連合国が介入しています。そのサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)に大量の武器を売却してきたのがアメリカです。
このビジュアルストーリーでは、イエメン内戦におけるアメリカの役割を解説した後で、サウジに対する支援を終わらせるよう議会に働きかけるよう呼びかけています。




タンザニアのLGBTQ支援
続いて紹介する事例「I Am Binadam」では、同性愛が犯罪になるタンザニアで、LGBTQの人々が直面している問題をデータを通じて伝えるデジタルキャンペーンを展開しました。
プロジェクト名の「I Am Binadam」は、スワヒリ語で「I am human」の意味だそうです。




このキャンペーンでは、ストーリーの途中に以下4種類のメッセージ画像を挟み、Facebook、Instagram、Twitterでのシェアを促しています。

そしてストーリーの最後には、匿名アンケートでの協力を呼びかけています。

政府によるネット遮断の実態をレポート
最後に紹介するのは、各国政府による「ネットの遮断」に対して声を上げるデジタルキャンペーン「KeepItOn」です。
ネット遮断に関するデータ、そのインパクトを伝えたのち、これまでの事例同様、アクションの呼びかけで終わります。




ジャーナリズム×データ×デザイン
Data4Changeは、BBC、The Independent、CNNでジャーナリストとして政治や社会問題を取材してきたStina Bäckerさんと、シビル・ソサエティ(※)や人権団体をデータ・ドリヴンのアプローチで支援してきたBronwen Robertsonさんが設立しました。
※ 世界銀行の定義によれば、シビル・ソサエティとは、政府、企業、家族・血縁関係以外の様々な団体・組織のこと。NGO、NPO、コミュニティ組織、財団、組合、宗教団体、大学・研究機関、非営利メディアなど(参照:シビルソサエティとの連携)。
デザインのヘッドには、国連や世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などのプロジェクトに関わってきたデータ・ビジュアライゼーションとインフォメーション・デザインの専門家のMichael Brennerさんを迎え、ジャーナリズム、データ、デザインの3領域をそれぞれ専門とする3人が中心メンバーとなっています。
と言っても、3人だけで活動しているわけではなく、プロジェクトごとに様々な人とコラボレーションして取り組んでいます。
Data4Changeの活動は主に4つで、(1)ビジュアルストーリーテリング(2)デザインスプリント(3)研修(4)コンサルティングです。
デザインスプリントの様子
なお、ここまで本記事では「ビジュアルストーリー」という言葉を使ってきましたが、Data4Change自身は、「Data storytelling(データ・ストーリーテリング)」と呼んでいます。
今回紹介した事例に共通する要素に、「データ(ファクト)の提示」と「アクションの呼びかけ」があります。この2つを結びつけて伝えるのに、デザインやストーリーテリングを活かしているのが、Data4Changeの特徴です。
その肝となるのが、ジャーナリズム視点、データ視点、デザイン視点の協働。この3視点は、SDGs(持続可能な開発目標)にプロジェクトとして取り組む際に、ヒントになる構成です。
タグをチェック
ACミラン ESG EURO Jリーグ Umbro お金 アワード アーセナル オリンピック サステナビリティ サッカー サッカー代表 サプライヤー スポンサー セリエA チェルシー チャンピオンシップ デザイン トッテナム ネットゼロ パリ・サンジェルマン ビジネス ブンデスリーガ プレミアリーグ マンチェスター・シティ マンチェスター・ユナイテッド ユニフォーム ラ・リーガ リヴァプール リーグ・アン レアル・マドリード レポート ワールドカップ 人種差別 女子サッカー 新記録 日本代表 映画 本 気候変動 温室効果ガス 温暖化 監督 音楽 食料
書籍もどうぞ
制作
櫻田潤
インフォグラフィック・デザイナー