事例で学べる、ソーシャルデザイン
『グラフィックデザインで世界を変える』(アンドリュー・シー著/北村陽子訳)はソーシャルデザインの事例集です。
地域の問題を身近に感じてもらうためのプロジェクトや、異なる人種・民族への偏見をなくすプロジェクト、貧困家庭を支援するプロジェクトなど、20の事例が紹介されています。
課題は、伝達と理解
多くのプロジェクトで抱える課題が、伝達と理解です。
「英語を話す住民だけでなく、ヒスパニック系住民にも情報を届けたい」「環境問題に対する理解を深めて欲しい」「ホームレス住民に支援サービスや法的権利を伝えたい」など。
たとえば、「ベンダー・パワー!(Vendor Power!)」は、ニューヨークのNPO「都市啓発センター(The Center for Urban Pedagogy)」が2008年にスタートした「政策をみなのものに(Making Policy Public)」プロジェクトの一つで、小難しい政策や手続きを、多様な人々にわかりやすく伝えることを目的に、NPOとデザイナーが協働しています。
イラストや図の活用
「ベンダー・パワー!」は、ニューヨーク市の露天商取引に関する複雑な政策を、露天商向けに、言語や文化を越えて理解しやすいように、イラストや図をたくさん用いたパンフレットを作りました。
他の事例では、絵本やインフォグラフィックを用いたプロジェクトがあり、全事例を通じて、インフォメーション・デザインとソーシャルデザインの相性の良さを感じました。
ソーシャルデザインとは
では、あらためてソーシャルデザインとは何か、言葉にするとしたらどう表すのがいいでしょうか。
僕が一番しっくり来たのは、「ケアーズ移動安全センター」と協働した「メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アート」のデザイン実践センターによる定義です。
ソーシャルデザインは、社会課題の理解と、ポジティブな社会変革の支援に特化した、クリエイティブな実践です。
Social design is a creative practice dedicated to understanding social problems and supporting positive social change.
『CENTER FOR SOCIAL DESIGN』(Maryland Institute College of Art)
この定義が良いと思ったポイントは、社会課題を解決すると言わずに、解決のための取り組みを支援するものとして位置付けている点です。
プロジェクト全体のゴールはもちろん社会課題の解決になりますが、それはデザインの力だけで解決するものではありません。そのニュアンスが含まれているのが良いと感じました。
ソーシャルデザインのガイド本
そんなソーシャルデザインに欠かせないのが、コミュニティとの協働です。
本書の中では「コミュニティとの協働戦略」として、デザイナーに次のアプローチを薦めています。
『グラフィックデザインで世界を変える』は、ソーシャルデザインに興味のあるデザイナーや、デザインの力を必要としているNPOなどの団体・コミュニティにとって、ガイドになる本です。
タグをチェック
ACミラン Adidas ESG EURO Umbro お金 アワード アーセナル オリンピック サステナビリティ サッカー サプライヤー ジャーナリズム スポンサー セリエA チェルシー チャンピオンシップ デザイン トッテナム ネットゼロ パリ・サンジェルマン ビジネス ブンデスリーガ プレミアリーグ ポルトガル代表 マンチェスター・シティ マンチェスター・ユナイテッド ユニフォーム ラ・リーガ リヴァプール リーグ・アン レアル・マドリード レポート ワールドカップ 人種差別 先発メンバー 女子サッカー 新記録 映画 本 気候変動 温室効果ガス 温暖化 監督 食料
コンテンツを見逃さない
新着コンテンツや最新動向をメールでお届けしています。
書籍もどうぞ
著者
櫻田潤
インフォグラフィック・デザイナー
インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「VISUALTHINKING」運営。著書『たのしいインフォグラフィック入門』『インフォグラフィック制作ガイド』他