インフォグラフィックの基本を全9回で解説します。今回はその第6回です。第1回から読むにはここからどうぞ。
はじめに
前回、インフォグラフィックの活用領域で有望なのは、パブリック・リレーションズだと書きました。
活用に当たって、ここで書いたインフォグラフィックの2つの価値──「情報の価値」と「ビジュアルの価値」を追求するのはもちろんですが、大切にすることが他にもあります。
インフォグラフィックを使って、顧客や読者との関係を構築するには、信頼が欠かせません。そこで今回は、信頼されるインフォグラフィックの要件を考えていきます。
インフォグラフィックの3要件
(1)透明性

データや根拠、制作者がはっきりしないインフォグラフィックが残念ながらあります。さらにはそれが、ビジュアルの面白さや主張の強さから広がってしまうことがあります。閲覧数は増えるかもしれませんが、良いインフォグラフィックとは言えません。
良いインフォグラフィックとは、何をソースに、誰が、どういう切り口で作ったのかがわかるインフォグラフィックです。
(2)客観性

インフォグラフィックは、編集や表現次第で、発信者にとって「都合のいい話ばかり」を誇張することもできてしまいます。インフォグラフィックは、何か切り口を決めてまとめ上げるものなので、程度の差はあれど、主観を伴うものです。でもそれが一方的だと、信頼されません。
良いインフォグラフィックは、客観性を備えたインフォグラフィックです。
(3)多様性

インフォグラフィックは、編集や表現次第で、ステレオタイプ、差別、偏見の増長に加担してしまう可能性があります。たとえば、男性=青、女性=赤といった色の表現など、これまであまり意識されずに繰り返し使われてきた表現に対して、本当にそれでいいのか、立ち止まって考えることが重要です。
良いインフォグラフィックとは、人種や民族、性別、宗教、階級、年齢などの多様性を意識したインフォグラフィックです。
おわりに
今回は、信頼されるインフォグラフィックの要件を考えていきました。インフォグラフィックを活用する際、これらの視点を持って取り組むようにします。
次回は、インフォグラフィックを作るのに必要な制作プロセスを見ていきます。
次の記事: インフォグラフィック制作の流れ
インフォグラフィックが好きに
なったら。
運営

櫻田潤
インフォグラフィック・デザイナー
インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「ビジュアルシンキング」運営。📚著書『たのしいインフォグラフィック入門』他