インフォグラフィックの基本を全9回で解説しています。今回はその最終回です。第1回からの一気読みはここからどうぞ。
はじめに
前回は、インフォグラフィック制作に必要なスキルセットを見ていきました。今回は、スケジュールと見積の考え方をまとめます。
スケジュールの考え方
制作フローを元に考える
スケジュールは、制作フローに沿って組み立てます。

どこかのステップを端折ったり、順番を入れ替えることはできません。

かかる時間はケースバイケース
一つのインフォグラフィック制作にどれくらい時間がかかるかは、題材の種類、情報の集まりやすさ、関係者の数、グラフィックの作り込みなどによって変わるため、一概に言えません。

時間がかかるのは?
特に制作フローの中で時間をかける必要があるのは、STEP 2(情報収集)とSTEP 6(作り込み)です。

まず、情報収集がおろそかだと、内容が浅くなったり、偏りが出てしまいます。インフォグラフィックの価値の一つ「情報の価値」を高めるために、最終的に使うかどうかわからない情報も含めて、幅広く集めます。

それから、作り込みは仕上がりの印象を大きく左右します。インフォグラフィックの価値の一つ「ビジュアルの価値」を高めるために、時間をかけてブラッシュアップしていきます。

こちらも参考に: インフォグラフィックの価値
スケジュールの落とし穴
インフォグラフィックは、関係者による内容確認の時間が、他のグラフィックデザインの成果物よりもかかりがちです。
誰の確認・承認が必要か、制作前の打ち合わせで聞いておき、スケジュールを組み立てる際に考慮します。
主な確認タイミングは、「企画内容について」「インフォグラフィックの切り口について」「レイアウトについて」「成果物について」の4回です。

スケジュールの目安
自分一人で自主的にインフォグラフィックを作る場合と比べ、依頼による制作は、確認や調整の時間が加わるため、1.5〜2倍の時間がかかるとみておくとよいでしょう。

見積の考え方
見積に関しても、スケジュール同様、制作フローに沿って考えます。ただ、見積書に記載する際、すべてのステップごとに金額を出していくのでは細かすぎるため、大きくSTEP 2〜4をまとめて「情報設計」、STEP 5・6を「グラフィック制作」とするとよいでしょう。

インフォグラフィックの制作依頼に慣れていない発注者の場合は、「グラフィック制作」のみの費用イメージを持っているため、制作フローを説明し、「情報設計」の費用が発生することを伝える必要があります。
おわりに
今回は、インフォグラフィック制作のスケジュールと見積の考え方を見ていきました。インフォグラフィックの基本に関する連載は今回でおしまいです。
最初から読む:インフォグラフィックとは
インフォグラフィックが好きに
なったら。
運営

櫻田潤
インフォグラフィック・デザイナー
インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「ビジュアルシンキング」運営。📚著書『たのしいインフォグラフィック入門』他