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デザインガイド

インフォグラフィックの仲間たち

図解やグラフ、ピクトグラム、アイコン、インフォグラフィックはどう使い分ける?

📍この記事は、連載シリーズ『インフォグラフィック・デザインガイド』の2話目です。連載目次はこちら

はじめに

前回の記事で、インフォグラフィックは「情報の関係に見た目(形)を与え、物事を視覚的に伝達・理解できるようにするグラフィック表現」だと定義しました。

インフォグラフィックとは

では、同じような役割を果たす図解やグラフ、ピクトグラム、アイコンといった表現も「インフォグラフィック」なのでしょうか。

人によっては、図解とインフォグラフィック、グラフとインフォグラフィック、ピクトグラムとインフォグラフィックをほとんど同義に使っていることもあれば、区別していることもあります。

インフォグラフィックの仲間 図解 グラフ ピクトグラム

いずれの表現も、物事を視覚的に伝達・理解できるようにするものです。したがって、広義のインフォグラフィックと呼んでも良さそうです。しかし、個別の呼び方があることからもわかるように、それぞれに特性があります。一括りで捉えるよりも、違いをふまえて使い分けできた方が良いでしょう。

そこで今回は、それぞれの表現の良いところと使い分けのポイントを見ていきます。

図解とグラフ

大まかな分類

はじめに断っておくと、図解とインフォグラフィック、グラフとインフォグラフィックの間には中間的な表現が可能なため、どこからどこまでが図解・グラフで、ここから先がインフォグラフィックというような明確な線引きはできません。

図解とインフォグラフィック

たとえば、ベーシックな円グラフをインフォグラフィックと呼ぶ人はあまりいないと思います。でも、そこにアイコンやイラストが追加されたらどうでしょうか。さらにはモーショングラフィックスで円グラフが徐々に表示されるようにしたらどうでしょうか。ビジュアルの作り込み(アニメーション含む)によって、表現の位置付けがゆらぎます。

表現にはグラデーションがあります。作り手として大切なのは、厳密な線引きではなく、この場合はどちらの表現に寄せた方がいいのか、どちらの特性を活かした方がいいのか、あるいは中間的なアプローチをとるのかなど目的に合わせて適切に選択できることです。

ここでは、インフォグラフィックとのアプローチの違いがわかるように、典型的な図解・グラフとして以下をイメージして話を進めます。

図解

矩形や矢印などベーシックな図形の組み合わせで定性的な情報を表現したもの。

図解 インフォグラフィックの仲間たち
グラフ

矩形のサイズや割合、点や線の位置などで定量的な情報を表現したもの。

グラフ インフォグラフィックの仲間たち

インフォグラフィックと比べて、それぞれの利点はどんなところにあるでしょうか。

図解の良いところ

1.作りやすい

基本図形で作るため、デザインツールを使わずにプレゼンソフトなどで制作でき、気軽に利用できます。

2.変更しやすい

インフォグラフィックほどグラフィックが入り組んでいないため、制作が進む中でのテキストや色、配置などの変更が比較的容易にできます。

3.テンプレ化しやすい

個性的な表現を抑え、誰でも使える図形で構成されているため、汎用性が高く、テンプレート化に向いています。

グラフの良いところ

1.作りやすい

表計算ソフトなどにデータを打ち込んで生成できるため、手軽に利用できます。

2.変更しやすい

インフォグラフィックほどデータを加工していないため、データの打ち変えや色、テキストなどの変更が比較的容易にできます。

3.数字の理解に適している

棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど定番のグラフはさまざまな場面で使われて普及しているため、理解の負担が少なくすみます。

次に、図解・グラフと比べてインフォグラフィックの良さはどんなところかを見ていきます。

インフォグラフィックの良いところ

1.目にとまりやすい

図解・グラフが機能的な表現なのに対し、インフォグラフィックは情緒的な面もあり、感情に訴えかけます。インフォグラフィックはビジュアルの魅力で、関心が低い人にも振り向いてもらいやすくします。

インフォグラフィック 良い点  目にとまりやすい
2.多彩なビジュアルで理解しやすい

内容に合ったビジュアル要素を用いることで、何をテーマにしているのかが一目でわかります。また、図解やグラフよりも表現の自由度が高いため、図解・グラフだけでは説明が難しいことも、インフォグラフィックを使うことで表現できます。

インフォグラフィック 良い点 理解を助けてくれる
3.識別しやすい

図解・グラフはベーシックな表現ゆえに、誰が作って発信しているのか識別しづらいことがあります。それに対してインフォグラフィックは、世界観も一緒に届けることができます。

インフォグラフィック 良い点 識別しやすい

使い分けのポイント

インフォグラフィックには上に挙げた利点がある一方で、作り込みに時間がかかる、修正が大掛かりになる、作れる人が限られるなど機動力に課題があります。

なんでもインフォグラフィックにすればいいというものではなく、本当にインフォグラフィックにする必要があるのか、図解・グラフで十分ではないのかの見定めも大事です。

たとえば、社内の会議や、関心の高い人、ある程度くわしい人に向けた発信では、インフォグラフィックは過剰な表現とも受け取られます。わざわざインフォグラフィックにしなくても図解やグラフ、場合によってはテキストの箇条書きで事足ります。

図解とインフォグラフィック 使い分けのポイント

インフォグラフィックでの活用

図解

図解はインフォグラフィック制作の中で思考の整理や、インフォグラフィックの部品や原型として使うことができます。

図解とインフォグラフィック 関係
グラフ

グラフはインフォグラフィック制作の中で定量データの分析や、インフォグラフィックの部品や原型として使うことができます。

グラフとインフォグラフィック 関係

ここまで、図解・グラフとインフォグラフィックの関係を見てきました。続いて、ピクトグラム/アイコンとインフォグラフィックの関係を見てみましょう。

ピクトグラムとアイコン

ピクトグラムもアイコンも、何かの概念や意味をグラフィックで表現して伝達する絵記号です。言葉の代替・補完に使われるほか、本来の用途とは異なりますがアイキャッチで使われることも増えています。

ピクトグラムとアイコンも名称が分かれていますが、この線引きも難しいため、大まかな分類に留めます。

ピクトグラム

交通案内や行動の指示、危険の伝達などに使われます。判断の遅れが生命の危険や行動の分かれ道になるため、急いでいる時にパッと意味が明確にわかること、遠くから識別できること、どの場面でも同じ意味に対して同じ記号が使われていることが重要です。そのため、形状や色づかいに制約があり、情報の伝達に重きを置いた機能的なデザインとなっています。

ピクトグラムとは
アイコン

ピクトグラムの用途が資料の画像や機器のボタン、パソコンやスマートフォンのインタフェースなどに拡張するに連れ、従来の機能的な役割以外にコミュニケーションの側面も加わっていきました。

使っていて「たのしい」「クール」といった情緒的な価値が加わり、ブランドアイデンティティの一部にもなっていき、ピクトグラムよりも表現の自由度が高まりました。

アイコンとは

インフォグラフィックでの活用

ピクトグラムとアイコンは、自転車の記号であれば駐輪場、虫眼鏡であれば検索といったように、利用時にはひとつの意味=情報を示します。複数を組み合わせて使うことで、そこに関係性が生まれることから、「情報の関係」を表現するインフォグラフィックの部品に適しています。

ピクトグラム アイコン インフォグラフィック 関係

おわりに

今回、インフォグラフィックとその仲間たちの表現の特性を見ていきました。

次回は、インフォグラフィックが求められる背景を考えていきます。

次の記事はこちら👉「なぜインフォグラフィックを使うのか」


📙書籍化予定

本連載を推敲して、『インフォグラフィック・デザインガイド(仮)』としてBNNから書籍刊行予定です。出版時期が決まったら、Twitterなどでお知らせします😌


運営

櫻田潤 写真
櫻田潤

インフォメーション・デザイナー

インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「ビジュアルシンキング」運営。📚著書『たのしいインフォグラフィック入門』

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