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デザインガイド

なぜインフォグラフィックを使うのか

インフォグラフィックが求められる背景は?

📍この記事は、連載シリーズ『インフォグラフィック・デザインガイド』の3話目です。連載目次はこちら

はじめに

連載1話で「インフォグラフィックとは」を定義し、2話ではインフォグラフィックと似た役割を果たす図解やグラフとの使い分けのポイントを解説しました。

今回は、インフォグラフィックの利用意義をより明確にするため、インフォグラフィックがどんな課題を解決するものなのか、インフォグラフィックが求められる背景を2つの視点から見ていきます。

(1)情報の視点

何十年も言われてきた「情報爆発」を筆頭に、情報環境は変化し続けています。1998年にGoogleが創業し、「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」とミッションを掲げましたが、Googleが解決してきたこととは別に、情報に関する新たな問題が生まれています。

情報爆発

なぜインフォグラフィックを使うのか 情報爆発

無数のウェブサイト、ソーシャルメディアやチャットなどコミュニケーションツールの普及、デジタル端末やスクリーンが至るところにできたことによって、情報の発信手段と流通場所が増えました。情報爆発は止まることなく、これからも続くと予想できます。

加速化

なぜインフォグラフィックを使うのか 情報の加速化

絶え間なくアップデートされるタイムライン、新着を知らせる通知──少し前の最新が一瞬で切り替わり、過去のものに。重要な情報、普遍的で長く必要とされる知識も他の情報と一緒に流れていってしまいます。

細切れ化

なぜインフォグラフィックを使うのか 情報の細切れ化

コンビニでケーキがコンパクトなカップケーキで売られるように、流通場所に合わせて情報のサイズも変わります。ソーシャルメディアやチャット形式の情報発信・受信が増える中で、情報の細切れ化が進み、背景にある文脈や複雑な情報の関係を把握しにくくなっています。

極端化

なぜインフォグラフィックを使うのか 情報の極端化

たくさんの情報が加速的に流れていく中で注目を得るために、極端なメッセージを使うのを目にする機会が増えました。偏った情報、扇動的な情報、フェイク情報が横行し、社会の分断を増長しています。こうしたことが、気候変動や政策の行方など、多くの人が共通認識を持たなければ前進しないことの進展を妨げています。

一人歩き

なぜインフォグラフィックを使うのか 情報の一人歩き

細切れになった情報、極端な情報が不特定多数にコピーされることで、元の発信者が伝えたかった文脈から切り離されて、意図せぬ広がりを見せてしまう場合があります。一度広まったものを止める手段、訂正する手段も万全ではないため、一人歩きを始めた情報は発信者の責任範囲を超えて、広がり続けます。

ここまで情報をめぐる諸問題を見ていきました。これらに加えて、インフォグラフィック活用の背景には、コミュニケーションの構造上の課題もあります。

(2)コミュニケーションの視点

3つのハードル

コミュニケーションは、言葉なり、身振りなり、画像や動画なり、発信者が何らかの情報を発することで始まります。それに対して、受信者は興味を示し、内容を理解し、反応します。

コミュニケーションの構造

ポイントは、発信者は情報を発するだけでいいのに、受信者は興味・理解・反応の3つを求められる点です。コミュニケーションは構造上、発信者よりも受信者の負担が大きくなっています。

コミュニケーション 受信者 負担

この非対称を前提に、受信者に多くを期待する前に、発信者は内容や方法を工夫して、受信者の負担を少なくする必要があります。

ここまで見てきた情報の諸問題、コミュニケーションの構造上の課題に対して、インフォグラフィックはどのような価値を提供できるのでしょうか。

インフォグラフィックが求められる背景

インフォグラフィックの価値

1.ビジュアルの価値

溢れかえる情報とその加速化で、ひとつひとつの情報に興味を持つのが難しくなっています。だからと言って注意をひくために過激な表現をするのではなく、ビジュアルの魅力で解決をはかるのがインフォグラフィックです。興味のなかった内容、複雑な内容も、ビジュアルを用いた解説で理解を助けます。

また、一貫性のある世界観をインフォグラフィックに反映することで、発信者ブランドの認知、信頼の蓄積にもつながります。

インフォグラフィック ビジュアルの価値
2.情報の価値

インフォグラフィックは絡み合った情報の関係をひも解き、物事をクリアにすることに特化した表現です。

客観的に全体像の把握がしやすく、細切れ化する中でも物事を関係で伝えられ、一人歩きしても各自で読み解くことができます。

インフォグラフィックを使うことで、理解のハードルを下げ、さらにはただ情報を単純なメッセージにして届けるのではなく読み解く行為を受信者が行う余地を残すことで、理解ありきの反応を生みます。

インフォグラフィック 情報の価値
3.パッケージの価値

インフォグラフィックは、複数の情報を組み合わせて見せたり、タイトル、概要の説明、使ったデータのソース表記、制作者や発信者のクレジット表記をひとつの画像にパッケージできます。

情報が一人歩きする際に、これらがパッケージ化されていることで、文脈をセットで届けられます。発信者にとっては意図せぬ拡散を予防することに、受信者にとってはまとまっている安心感から共有のしやすさにつながります。

パッケージ化された情報は保存して見直すのにも役立ちます。

インフォグラフィック パッケージの価値

おわりに

今回は、インフォグラフィックが求められる背景と価値を見ていきました。

次回は、具体的にどんな場面でインフォグラフィックが活きるのか、活用領域や活用場所を考えていきます。


📙書籍化予定

本連載を推敲して、『インフォグラフィック・デザインガイド(仮)』としてBNNから書籍刊行予定です。出版時期が決まったら、Twitterなどでお知らせします😌


運営

櫻田潤 写真
櫻田潤

インフォメーション・デザイナー

インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「ビジュアルシンキング」運営。📚著書『たのしいインフォグラフィック入門』

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