ネットゼロ目指すアマクラブ「ニルヴァーナFC」

UEFAがツール発表

UEFAが「カーボンフットプリント測定ツール」の提供を開始したと発表しました。

UEFA カーボンフットプリント測定ツール

温室効果ガス排出量を測定・報告するための国際的な基準「温室効果ガスプロトコル(以下、GHGプロトコル)」に基づくツールで、サッカーに特化して開発されました。

このツールは、サッカークラブからの排出を測定するため、「モビリティ」「施設」「グッズ&サービス」「物流」の4つをカバーするものになっています。

  • モビリティ:チーム、関係者、観客の移動や宿泊
  • 施設:スタジアム、トレーニングセンター、オフィスなどでのエネルギー使用や水の消費、廃棄物
  • グッズ&サービス:食べ物、アパレルなど売店の売り物やグッズ全般
  • 物流:陸海空のグッズ輸送

UEFAのツール発表に先駆けて、今年2月にはプレミアリーグが新しい環境・サステナビリティに関する公約を発表し、その中で各クラブは25/26シーズン末までに温室効果ガス排出のデータセットを作成し、サッカー界全体の排出量測定の標準化に取り組むこととしています。

プロリーグがこのような段階にある中で、カーボンフットプリントの測定を行うアマチュアクラブがあります。

レスター・ニルヴァーナFC

ネット・ゼロ目指すアマチュアクラブ レスター・ニルヴァーナFC

イギリスはレスターの「ニルヴァーナFC(Leicester Nirvana FC)」は、1994年にできたクラブ。アマチュアクラブながら、2023年11月に、GHGプロトコルに基づく排出量の測定結果を発表しています。

GHGプロトコルは、温室効果ガス排出を次の3つにわけて見ていきます。

  • スコープ1:クラブが管理する施設や車両などからの直接的な排出
  • スコープ2:他社から供給されたエネルギー使用に伴う間接的な排出
  • スコープ3:クラブの活動に関連するその他の排出(例:ファンの移動、ユニフォームの製造など)

クラブの発表によると、最大の排出源はエネルギー(スコープ2)でした。

レスター・ニルヴァーナFCのカーボンフットプリント

トップリーグのクラブになると、ここにスタジアムやトレーニングセンター、プライベートジェットやバス、グッズの製造・販売に伴うものの比重も増えてくるんじゃないかと思います。

どう実現したか

続いて、このアマチュアクラブがどうやって排出量の測定を実現したのか見ていきましょう。

重要だったのは、同じレスターにあるデ・モントフォート大学(De Montfort University:以下、DMU)とのパートナーシップでした。両者は2022年7月に協力関係を結びました。DMUのことは、国連がSDGsを推進するために世界の17大学とパートナーシップを結んだうちの一校だったことから知ったそうです。

ニルヴァーナFC以外にも、ドイツのアマチュアクラブのSGアイントラハト・パイツ(SG Eintracht Peitz)がDMUに協力を求め、イギリスとドイツの2つの国でアマチュアクラブ初のネットゼロ実現を目指すことになりました。

デ・モントフォート大学がアマチュアサッカークラブのネット・ゼロを支援

ネットゼロ戦略

最後に、ニルヴァーナFCのネットゼロ戦略を紹介します。クラブは、5つの目標を掲げています。

1. 教育とエンゲージメント

持続可能性の取り組み対するクラブ・コミュニティの意識を高める。

  • 気候変動とクラブの持続可能性への取り組みについて、選手、コーチ、保護者、ボランティアを教育する。
  • クラブ内にサステナビリティ・アンバサダーを任命し、持続可能性を提唱し、行動変容を促す。
  • リサイクルや廃棄物削減プログラム、清掃日や植樹活動など環境に配慮した地域イベントを行う。
2. 炭素排出量の測定

クラブの温室効果ガス排出量を測定し、理解する。

  • 移動、エネルギー使用、廃棄物を含むクラブ運営の包括的な炭素監査を実施する。
  • 試合、移動、施設、設備からの排出量を追跡、測定する。
  • 炭素排出量の基準を設定し、進捗状況を把握する。
3. 炭素削減戦略

温室効果ガス排出を削減するための戦略を策定する。

  • 相乗りの奨励、公共交通機関の利用を促進する。クラブ用の低燃費車に投資する。
  • 照明や暖房システムをよりエネルギー効率の高いものにする。
  • ソーラーパネルの設置など、再生可能エネルギーに関するパートナーシップを探す。
  • 施設・設備の新築や改築の際、環境に優しい素材や設計を考慮する。
4. パートナーシップ

再生可能エネルギー導入に必要なパートナーシップ、資金を集める。

  • 再生可能エネルギー・プロジェクトのための助成金や資金調達の機会を確認する。
  • 持続可能性に関心を持つ地元の企業、団体、政府機関と関係を築く。
  • 持続可能性の取り組みを支援してくれる企業スポンサーを募る。
  • エネルギー効率と廃棄物削減を通じてコスト削減に継続的に取り組む一方で、新しい収入源も見つける。
5. 長期的な持続可能性

これらについて、長期的に取り組む。

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櫻田潤

インフォグラフィック専門のコンテンツレーベル「ビジュアルシンキング」運営。著書『インフォグラフィック制作ガイド』『たのしいインフォグラフィック入門』


コンテンツのソース

Breaking Barriers: A Call for Diversity in Sustainability Conversations.(Leicester Nirvana FC)
Bridging the gap between inequalities and sustainability in grassroots football(Football and Climate Change Newsletter)
DMU to help create first Net Zero amateur football clubs(De Montfort University)
Eight things grassroots football clubs can do to reach net zero(The Conversation)
Flying the Net Zero Flag for Football(Leicester Nirvana FC)
German Borders: Nirvana’s Journey Towards Sustainability and Collaboration.(Leicester Nirvana FC)
Green shoots of hope delivered by innovative amateur clubs(Football and Climate Change Newsletter)
Joining a Global Campaign(Leicester Nirvana FC)
Leicester Nirvana Net Zero Strategy(Leicester Nirvana FC)
Premier League statement
UEFA Carbon Footprint Calculator(UEFA)